『イントゥ・ザ・ナイト シーズン1』――あらすじ&ネタバレ感想【Netflix】

2020年6月18日木曜日

Netflix SF サスペンス シリアス パニック 海外ドラマ

t f B! P L

作品情報


 簡単な解説


 ベルギー産のSFサスペンスドラマです。
 なんとNetflixにおいて初のベルギーオリジナル作品だそうで、割とあちこちでプッシュされていますね。



 エピソード


 本作は最長40分のエピソードが6つ存在するというミニシリーズになっており、スピード感も相まって実にあっさりと見終える事が出来ます。
 なにより魅力的なのは目まぐるしく変わる人間模様と、太陽によって人が死に絶えていくという設定が醸し出す異様な世界観。

 所謂ポストアポカリプス物なのですが、それらにありがちな中弛みや仲間割れをテンポ良く描いているので気にならない上、各話に一度は大きなイベントが発生するので見ている方を飽きさせないのも魅力的です。

 原作・制作陣


 原作はヤチェク・ドゥカイの『The Old Axolotl』を下敷きにしています。あくまで下敷きにしているだけで、話は大分違うものとなっているようですが、原作者であるヤチェクも制作陣として名を連ねています。

 監督はトルコドラマである『ラスト・プロテクター』で監督を勤め、『ブラックリスト』で多くの脚本を行っているジェイソン・ジョージ。新進気鋭のクリエイターのようです。

 登場人物・キャスト


・シルヴィ(演 - ポーリン・エティエンヌ)

 元ベルギー空軍のヘリコプターパイロット。恋人を病で失った。
 数少ない従軍経験者ということ、航空機の操縦経験からグループのリーダー格となっていく。
 搭乗理由は灰になった恋人を散骨してから自死するため。

 演じるポーリン・エティエンヌはベルギーの俳優。短編映画を中心に出演しているようです。

・テレンツィオ(演 - ステファノ・カセッティ)

 NATO将校。ブリュッセルでの会議中に太陽による激変をいち早く知った彼が飛行機をハイジャックした事が物語の発端。
 自己中心的な性格と神経質さ、そしてハイジャックの過程で手にした銃を振りかざす事によって多くの人物と衝突する。
 中でもマシュー・アヤズの両名とは度々ぶつかり合う事に。
搭乗理由は自らの命を守るため。

 演じるステファノ・カセッティはイタリア映画・フランスドラマを中心に活躍する実力派。
 実在の殺人鬼を描いた映画『ロベルト・スッコ』などが有名かと。


・マシュー(演 - ローラン・カペルト)

 副操縦士。テレンツィオのハイジャックの際に片手を銃撃され、それによってシルヴィの手助けが無ければ離着陸出来ないようになってしまう。
 異常事態でも職務を果たそうとする忠実さや誠実さと、不義密通と不倫相手を妊娠させるという不貞さを併せ持つ。
物語中盤から怪我が悪化し、ついには敗血症によって意識を失う事態に陥る。
 搭乗理由は仕事。

 演じるローラン・カペルトはイタリアの俳優で、イタリア・フランスの映画界を中心に活動しているようです。

・アヤズ(演 - マフメット・クルトゥルス)

 トルコ人であり、闇社会の人間。
 物静かでミステリアスだが、荒事に慣れているようで、度々その力を発揮する。
 ドミニク親子やイネスに様々な気遣いを見せる紳士であるが、その搭乗理由からリックやテレンツィオとは度々対立する事に。
 搭乗理由はエメラルドの密輸。

 演じるマフメット・クルトゥルスはトルコ出身の俳優で、主にドイツドラマ界で活躍中のようです。

・ローラ(演 -  バベティダ・サジョ)

介護福祉士であり、機内の唯一の医療関係者。
マシューの傷の手当を始めとした医療に関する事で奮闘する。
搭乗理由は介護のため。

演じるバベティダ・サジョはベルギー出身の俳優で、このイントゥ・ザ・ナイトが初のレギュラーキャストなんだとか。

・ザラ(演 - レジーナ・ビッキナ)

 嚢胞性線維症を患うドミニク(演 - ニコラ・アレチン)の母。
 息子と共に異様な事態に翻弄される事に。
 搭乗理由は息子の治療の為。

 演じるレジーナ・ビッキナは殆ど経歴が無い(2009年のテレビドラマに出演したのみ)ものの、見事に母親役を演じきっています。

・リック(演 - ヤン・ベイヴート)

 警備員。やや気難しく神経質な性格。
 職業柄か機内の治安を保つべくテレンツィオにあっさりと靡き、他の乗客達に居丈高に接する。
 搭乗理由はネットで知り合った彼女に会いに行く為。

 演じるヤン・ベイヴートは映画『ボーグマン』の主演を始めとし、欧州の映画界で存在感を放っている実力派です。

『イントゥ・ザ・ナイト』のあらすじ

 夜間飛行を行うブリュッセル―モスクワ便にNATO将校のテレンツィオが銃を持って押し入り、機長と客室乗務員がまだ空港に残された状態で離陸する事を要求。


元軍のヘリパイロットだったシルヴィーがテレンツィオから銃撃を受けた副機長のマシューの手助けを受けて離陸に成功。

 テレンツィオの要求は、モスクワではなくアイスランドへ向けて飛行する事。


日光が人間を殺すなどと主張するテレンツィオの言葉を裏付けるように、レイキャビクの空港はパニックに陥っており、着陸出来ない状態になっていた。  そこで、スコットランドの軍用基地に着陸することになった一行。


 基地で燃料補給を済ませてカナダへ向けて飛び立つ飛行機だが、途中で乗客が死ぬトラブルに、唐突に復旧したインターネットを通してテレンツィオの言葉が嘘ではなかったこと、太陽の放つガンマ線によって人々が死に絶えている事が明らかになる。


 カナダに着陸し、燃料補給と破壊されたラジオの代わりを見つける際のトラブルで客室乗務員の一人を失いつつも、見つけたラジオで別の航空機との接触に成功。ハワイに安全な避難所があるとの情報を手に入れる。


 その間に、機内で死んだ乗客はトルコ人のアヤズが宝石密輸の運び屋として使っており、死体から宝石を盗んでいたと判明。  


仲間割れが始まる中、テレンツィオが彼を擁護して自分の味方に付けつつ、NATOの避難所の噂を明かす。


 更に、ロシア人の宇宙飛行士との交信でハワイの避難所の話が嘘だと判明、そしてマシューの怪我が悪化し敗血症となるなどのトラブルがありながらも、飛行機は地球を一周してスタート地点であるブリュッセルに帰還する事に成功。  


 しかし、ガンマ線の影響で航空燃料や食品がダメになっている事が明らかに。


  テレンツィオがほのめかしていたNATOの避難所の位置を確かめるべく、ブリュッセルのNATO本部へと向かうグループとマシューの治療を行うグループに分かれる。


 しかし、NATO本部に向かったテレンツィオはNATOの避難所の位置が判明した後にアヤズと仲間割れし、彼を昏倒させる。しかし、自力で復活したアヤズが飛行機に戻った事で形勢は逆転。彼は拘束されてしまう事に。


 ブルガリアにあると判明した避難所へと向かう一行だったが、交通事故なども有り離れ離れになってしまう。 


 片方のグループは早々に避難所にたどり着く事が出来たが、中々もう片方のグループが来ない。そうこうしている内に、夜明けが迫ってきてしまう。   


 テレンツィオは贖罪の為に途中の検問所に残り、連絡役を務める事を提案。だが、もう片方のグループは別ルートで避難所に到達。一人残されたテレンツィオは太陽に焼かれ、死亡。  


 一方深い地下に気付かれた核シェルターの中で一行を待っていたのは、太陽に対する抵抗策を探っているNATO指揮官で、彼は一行に協力を求めてきた……


感想


 これはハマれるドラマだ

 いや、すごいドラマでした。

 何が凄いって壮大なスケールの話でありつつも、作中の話は殆ど機内で繰り広げられているのにも関わらず中弛みのない怒涛の展開。

 パニック物としてのスケール感は少し劣るかな? という気はするものの、サスペンス感は十分です。途中で語られる登場人物たちの過去もしつこく語りすぎないのがいいです。

 長すぎないのが痛し痒し


 短い話数という事もあり、登場人物の掘り下げはかなり限られていたのが少し残念ですが、ミステリアスで異様な雰囲気を持つトルコ人のアヤズと鮮烈な過去を持ち、あまり前に出ることなくグループを導いていくシルヴィの二人を始めとし、魅力的な登場人物がぶつかり合い、生き延びるための道を探っていくのが実に面白い。


 登場人物の掘り下げは微妙…


 かなり登場頻度の多いザラ親子とローラ辺りの掘り下げが少なく、脇役に留まってしまっているのは少し残念なところ。
 小人物らしさを見せつつも、どこか憎めないリックも素敵。


 ミステリアスな男、アヤズ


 しかし、何よりも強烈な印象を与えるのは謎めいたトルコ人であるアヤズでしょう。妙な人間味とミステリアスな振る舞いが融合し、怪しげな出自にも関わらずどんどん好印象を抱いてしまいます。終盤の劇的なシーンでは思わず息を呑みました…
 途中退場する人々を含めて、味のある人物揃いです。これは確かにシーズン2以降が気になるところ……

 ちょっと裏事情が感じられるスケール感


 一方、前述の通りほとんどの尺が飛行機内で行われるので終末感は大分薄いかも。あ、この世界ヤバいんだというのが切実に現れていたのは序盤の空港での暴動シーンと終盤の病院のシーンくらいですかね…ここは勿体ないところ。
 何が起きているのか?というのがあまり表沙汰にならないので、そこに入り込めないとイマイチかも。

 伏線の張り方も地味。派手好きには勧められない


 食べ物の味がしない→太陽の異常現象のせいで細胞が破壊されているという伏線もいまいち地味すぎるうえに、世界情勢が登場人物が使うネット越しにしか伝わってこないのもマイナス。
 とんでもなく面白い作品ですが、ところどころに力不足というか資金が不足してたんだろうなと感じてしまうのも事実。

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